酸素療法の適応と功罪は?

Nursing Care+─エビデンスと臨床知─ Vol 1 No 3(2018年11月発行)p397-
II. 呼吸管理の疑問を解決しよう!


酸素療法の適応と功罪は?

~酸素は“絶対正義”か!?~

工藤光生

人間が生きていくためには酸素が必要です.人間の身体は約37兆個の細胞から構成されており,たとえば心筋なんかは20億個の細胞からなるといわれていますが,酸素はその1 つ1 つの細胞が生命活動(エネルギー代謝)を維持していくための材料です.酸素を用いた代謝を 好気性代謝といい,その産物は二酸化炭素です.一方,人間には酸素がなくてもある程度の代謝を行う力もありますが,これを 嫌気性代謝といい,その産物は乳酸です.酸素療法の究極的なゴールは,1 つ1 つの細胞の生命活動を助けることにあります.血液中の酸素分圧や酸素飽和度の改善を図るのは,あくまでその手段にすぎません.より医学的にいえば,“低酸素血症”ではなく“ 組織低酸素”を防ぐことがゴールということです.(以下本文参照)